
生まれ変わると決めたその朝、
小さな“やる気スイッチ”が確かに入った。
でも同時に、ずっと放置してきた体の不調を思い出した。
今度こそ、体ごと自分を大切にしたいから——
まず、ここから整えることにした。
Stage1 病院ダンジョンと行政迷宮へ
▶ 現在地
| 🪷 章 |
|---|
| 第1章 体のSOS、もう放置しない |
| 🛤️ ステージ |
| Stage1 病院ダンジョンと行政迷宮へ |
| 🧩 ステージクリア条件 |
|
☑️ 通行証(健康保険証&マイナンバー)の発行手続き ☑️ 診察を受け、検査をクリア |
生まれ変わってやりたいことが見えたとき、
最初に整えたいと思ったのは “体の土台” だった。
どんな未来を描こうとしても、
動ける体がなければ話にならないーー
そんな当たり前のことに、50歳を過ぎてようやく気づいた。
けれど現実の体は、その気持ちに追いつけていなかった。
よく眠れず、呼吸は浅い。
集中できず、胃腸は不安定。
食欲も落ち、頬はこけ、体重まで激減していた。
「気持ちは前に進みたいのに、体がついてこない」
そのギャップが、じわじわ心を弱らせていった。
そのとき、ふと “木こりと旅人” の寓話を思い出した。
一日じゅう木を伐り続けていた木こりがいた。
斧の刃はすっかり丸くなり、作業はほとんど進んでいない。
旅人が「刃を研いだらどうです?」と声をかけても、
木こりはこう答えるーー「研ぐ時間なんてないんだ。伐るのが忙しくてさ。」
わかっているのに、
私も同じだった。
目の前のことに追われ続け、
“刃を研ぐ=自分の体のメンテナンス” をずっと後回しにしてきた。
鏡に映る冴えない顔色を見た瞬間、
あぁ、これは積み重ねてきたツケなんだ…と胸が痛んだ。
でも、ここで立ち止まったままじゃ、何も変わらない。
今度こそ、体ごと自分を大切にして生きていきたい。
そのためにはまず、“今の体の状態” を正しく知ること。
病院は得意じゃない。
けれど、この一歩を避けてしまえば、
また同じ場所に戻ってしまう気がした。
「ここから整えていけばいい。」
そう自分に言い聞かせながら、
小さなバッグに健康保険証を入れて、玄関のドアを開けた。
ここが、人生をもう一度動かすための、
最初のステージ だった。

体の不調をリセットするために、
久しぶりに病院へ向かった。
受付を済ませると、最初に尿検査を指示された。
家を出る前にトイレを済ませてしまっていた私は、
「出るかな…?」と不安になりながら、
どうにか搾り出した、わずか一杯。
その直後だった。
「健康保険証、期限切れてますね。」
え…? と固まった。
その一言で、受診の扉があっさり閉ざされた。
健康保険証は、まるで 魔力を失った古い鍵 のようで、
診察室の扉はびくとも動かない。
私は一度、病院を後にした。
行政迷宮の入口へ落とされた
帰宅後、急いで新しい健康保険証を探したが見当たらない。
役所に問い合わせると、
「マイナンバーカードに紐づいていますよ」
と教えられ、ほっとしたのも束の間ーー
その マイナンバーカードも期限切れ。
さらに更新センターは今日は予約満席。
発行まで 1〜2ヶ月待ち。
すぐに受診したいなら、
市民センターで 健康保険資格確認書 を発行する必要があるらしい。
……これはもう完全に 行政迷宮(サブクエスト) だった。
- 市民センター
- マイナンバー更新センター
- 病院に戻る
という 三拠点ルート が必要で、
すべて “予約制”。
タイミングも合わない。
面倒ごとが一気に増え、
正直、「もう今日はやめようかな…」と思った。
しかし——尿が私を呼び戻した
そこでふと思い出した。
ーー 私の尿、置き去りなんだけど…
あれだけ頑張って搾り出した一杯が
検査室の片隅にぽつんと残されていると思うと、
タイミングの悪さよりも、なんだか笑えてきた。
「また今度でいいかな…」
そんな迷いを、あの尿がそっと引き止めた。
「今日、やっぱり行こう。」
そう思い直し、私はもう一度外へ出た。
行政迷宮に差した一筋の光
最初にA市民センターへ電話をかけ、事情を話した。
「早めに来てくれないと、こっちも都合があるんで」
不機嫌そうな早口に、胸の奥がざらついた。
そのまま電話を切り、気を取り直して B市民センターへ。
電話口の職員さんは、声のトーンからして全然違った。
最初から、ゆっくりと、こちらの状況を理解しながら話してくれた。
「健康保険資格確認書も、
マイナンバーの更新手続きも、
そのための写真撮影も、
全部ここで一緒にできますよ」
……え? 今すぐ? 写真も?
あの満席だった更新センターを飛び越えて?
まさかの 裏ルート解放。
その瞬間、迷宮の空気が一気に変わった。
行き場がなかったはずの道に、
ふっと光が差し込んだようだった。
職員さんはまるで、
唐突に現れた救世主そのものだった。
私は迷わず、B市民センターへ向かった。
マイナンバー撮影イベント
マイナンバーの顔写真は、
これから10年使い続ける “現実世界のアバター”。
まさか生まれ変わったその日に、
国民IDまで新生されるとは思わなかった。
だから私は、少しだけ“戦闘メイク”で挑んだ。
気合いと静かな覚悟を、ほんのり仕込んで。
撮影直前、職員さんのひと言。
「前髪が目にかかっているので、撮り直しになりますね」
……まさかの 前髪チェック。
中学生ぶりに言われた気がする。
不器用に前髪をかき分け、
姿勢を整えてもう一度シャッターを受けた。
なんとかミッションクリア。
親切すぎるB市民センターのおかげで、
マイナンバー更新
健康保険資格確認書(通行証)の発行
この2つのクエストを一気にクリアできた。
現実のRPGは、本当に手続きが多い。
でも、この小さな道のりをひとつずつ進んだことで、
少しだけ“新しい私”に近づいた気がした。
診察と検査で、体の今と向き合う
通行証を手に、私は再び病院へ向かった。
置き去りにした尿は、ちゃんと無事に保管されていた。
診察室で、医師に今の状態を伝える。
だるさ、不眠、頭痛。
下痢や胃腸の不調。
集中力が続かず、生活リズムも崩れている。
食欲が落ち、気分も沈みがち。
ひとつひとつ口にするたび、
なんだか、自分がお気の毒に思えてくる。
医師がカルテから顔を上げて、まっすぐに尋ねた。
「お仕事は?」
「昼は自宅でパソコン作業をしながら、
夜は運転代行のバイトをしています。」
短い沈黙のあと、医師は静かに言った。
「深夜バイト、やめたらどうですか?」
その言葉は、痛いほどの正論だった。
でも、その正論を避け続けてきたのは、
ほかでもない私自身だ。
診察が終わり、
尿検査、血液検査、
更年期のチェックリストを書き終えた。
そして最後に、
無呼吸症候群の検査キットが
後日自宅に届くことになった。
ここまでで、今日できる “体の分析” はすべて完了した。
静かに息をついた。
避けてきた現実と、ようやく向き合えた気がした。
⬆️✨ レベルアップ
テレレレッテッテッテー♪

初めて自分に許可を出せた!
“私を守る”という新しい決意を獲得した!
きょんは レベル2 に あがった!
-
体を後回しにすると、心まで削れてしまう。
だからまず整えるべきは、“毎日を生きるための体そのもの”。
🧝♀️ 現在のステータス(冒険ログ)
| レベル/称号 | |
|---|---|
|
Lv.2 / 自分を大切に扱える人
|
|
| ステータス | |
| HP | 45 → 55 |
| MP | 40 → 50 |
| スキル |
🛡️ 自分を大切にする許可 🗡️ 行政迷宮を突破する根気 ⚔️ 小さな一歩を積み重ねる力 |
| アイテム |
🧧 通行証(健康保険資格確認書) 📝 マイナンバー更新申請書 ❤️🩹 “私を大切にする決意”のかけら |
| 心の状態 | 達成感と、検査結果を待つ静かな不安。 |
⛪️ セーブポイント|冒険の記録
| ステージクリア |
|---|
|
第1章 体のSOS、もう放置しない Stage1 病院ダンジョンと行政迷宮へ |
| 今日の行動 |
| 通行証を取得し、診察と検査を完了させた。 |
| 内側の変化 |
| “体を後回しにしない” と自分に許可を出せた。 |
| 次の行き先 |
| 第1章|Stage2 検査結果を聞きに行く |
次のステージへ
睡眠無呼吸症候群の検査キットは、
三日後に自宅へ届いた。
装着して眠り、翌朝に返送。
静かに待つこと二週間——
病院から電話が入った。
「検査結果が揃ったので、いつでも来院してください。」
深夜バイトの負荷。
生活リズムの乱れ。
そして、私の体が本当は何を訴えているのか——。
避け続けてきた現実に、
いよいよ向き合う時が来た。
第1章|Stage2 検査結果と向き合い、不調の正体を知る
物語は、次の扉へ進む。


